国会質問

2017年06月12日

中国電力の原発再稼働、新設は認められない(5月12日経済産業委員会)

衆議院会議録情報 第193回国会 経済産業委員会 第12号

○大平委員 日本共産党の大平喜信です。
 経済産業委員会では初めての質問をさせていただきます。委員長を初め、世耕大臣、皆さん、どうぞよろしくお願いをいたします。
 きょうは、私の地元、中国地方の原子力発電所、原発をめぐる問題について質問をしたいというふうに思います。
 まずは、島根県松江市に設置をされております島根原発についてお伺いをいたします。
 島根原発は、全国の原発で唯一、県庁所在地に立地されている原発であります。委員の皆さんに配付資料を配らせていただきました。順番が少し逆転してしまいまして大変恐縮ですが、三枚目に島根県のホームページから抜粋をした地図を載せております。
 島根原発から島根県庁までは、わずか九キロしか離れていないという状況です。
 まず確認ですが、避難計画の策定が求められている島根原発の三十キロ圏内の自治体、それから避難対象となっているその人数は何人になるか、お答えください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 中国電力の島根原発、今御指摘のとおりでございますけれども、そこの発電所からおおむね三十キロ圏内にあります自治体は、まず、島根県と鳥取県、この二県にまたがるということでございます。それで、島根県では、松江市、出雲市、安来市、雲南市が該当いたします。そして鳥取県では、米子市、境港市が該当いたしまして、合わせて二県六市が三十キロ圏内にあるということでございます。
 それで、もう一つお尋ねの、三十キロ圏内の人口でございますけれども、これらの地域、合わせまして、合計で四十七万人の方が住んでおられるということでございます。
○大平委員 四十七万人ということで、大変な数の方が住んでおられます。
 さらに、この三十キロ圏内の中には、六十七の病院、診療所があり、入院患者は七千七百人、在宅要援護者が一万八千人に上ります。合わせて、要支援者として三万五千人近くにも上るという状況であります。
 原発三十キロ圏内の自治体には避難計画の作成が義務づけられておりますが、島根県内だけでは避難できる場所が賄えないということで、この計画の中では、近隣の広島県に約十七万人、お隣、岡山県に約十万人の方が避難するということになっております。しかし、中国山地を越えて避難をするということになるわけですから、当然、困難が伴う、時間もかかる。
 島根県、鳥取県両県のシミュレーションを私、調べましたら、避難完了時間を出しておりました。最も早い、最短でも二十一時間四十五分、最長でありますと二十七時間五十分かかるというふうにされております。
 島根県内の医療・福祉関係者からは、重病患者などが本当に安全に避難できるのか、特養ホーム待機者がふえる中で他県で本当に入居できるのか、こうした不安の声が上がっております。原発の稼働に理解を示す地元島根県の自民党の県議の方からさえも、避難など無理だ、こういうコメントが地元の地方紙、中国新聞で紹介をされておりました。
 大臣にお伺いしたいと思います。
 こうした中で、立地自治体である松江市以外、先ほど御紹介いただいた五市ですね、中国電力に対して、松江市と同等の安全協定、つまり、原発の新増設や変更に対する事前了解、あるいは原子炉の停止も含む適切措置要求、あるいは立入調査権などを認める、こうした協定を締結するよう求めておられます。
 中国電力が再稼働を求めている中で、こうした自治体の姿勢は、住民の命を守るために、被害を少しでも小さくするための当然の思いだというふうに私は思いますが、大臣の御見解、いかがでしょうか。
○世耕国務大臣 今御指摘の安全協定というものは、電力会社と自治体が任意に締結をしているものであります。という意味では、国は、残念ながら関与する立場にはないわけであります。
 なお、一般論として、各電力会社においては、自治体との信頼関係を大切にしながら、必要な対応を誠実に行うことが重要だというふうに考えております。
 また、これも一般論ですが、原発の再稼働に当たっては、国としても、地元の理解を得るよう、前面に立って取り組みたいというふうに考えております。
○大平委員 信頼関係というお話もありました。任意であるがために、中国電力は、こうした松江市と同等の協定を、島根でいえばこの三市の皆さんが求めているにもかかわらず、この間、かたくなに拒否をし続けてきた。出雲、安来、雲南の各市長からは、立地自治体以外の声を聞かない考えを改めるべきだ、事故のリスクは同じ、要請を真剣に受けとめるべきだ、こうした抗議の声が上がり続ける中で、ことしの二月、ともかくの安全協定を締結したわけですが、しかし、その内容は極めて不十分だということで、引き続き、三市長の皆さんは、立地自治体と同様の安全協定を求めていくと訴え続けられております。
 いざ事故が起きれば甚大な被害をこうむる、そのために避難計画をつくらなければなりませんが、先ほども述べたとおり、避難の実効性に極めて疑問視がされている。そういう中で、各自治体の首長の皆さんは、市民の安全を守るためにということで、こうした最低限の要望といいますか、こういうことを求めているわけです。
 国として、政府として、住民、国民の安全を守る立場に立つのであれば、少なくとも、三十キロ圏内の自治体には、事業者は立地自治体と同様の安全協定を結ぶように、私は、経産省としてもかじをとるべきだというふうに思いますが、もう一度お答えいただけますか、大臣。
○世耕国務大臣 これはあくまでも電力会社と自治体が話し合って締結するものだというふうに思っておりますので、電力会社においては、自治体との信頼関係を大切にしながら、必要な対応を誠実に行っていただきたいと思っております。
○大平委員 島根県知事さんも、こうした状況の中で、我が党議員の質問に答えた形の答弁で、国の責任できちんとやるべきだ、こういう答弁もされておられます。事業者任せの姿勢ではなくて、国民の命と安全を守る国の責任を果たすためにも、何より中電が再稼働を求めているわけですから、私は、最低限の責任として、これぐらいやるべきだと、大臣の政治決断も重ねて求めておきたいというふうに思います。
 島根原発の周辺には多数の活断層がありまして、地震の起こる可能性は極めて大きいとされている地域でもあります。特に、島根原発のすぐ南を走る宍道断層、ことしの二月に、地震調査研究推進本部でも、主要活断層として指定をされております。
 二〇一六年一月二十八日、中国電力は、この宍道断層の評価を、二十二キロメートルから二十五キロメートルへと変更すると公表をいたしました。この二十五キロメートルという中国電力の評価に対して、規制委員会はどのように考えており、中国電力との間で今どのような議論になっているか、審査の経過を簡潔に、委員長、御説明いただけますか。
○田中政府特別補佐人 島根原子力発電所二号機については、現在審査中でありますので、ここで予断を持ってお答えはできないのですが、宍道断層の東端の評価について、西側についてはほぼ終端を確定して、その結果、二十二キロが二十五キロになったということですが、東側については、昨年七月、政府の地震調査研究推進本部から、東側にも可能性があるという評価がなされたことがありまして、現在、企業者がその点について追加調査を実施しております。その調査結果を踏まえて厳格に審査していくということにしております。
○大平委員 西側は確定したが東側はまだ延びる可能性があると推進本部の提言もあった、こういう話でした。二十五キロメートルというこの長さの評価もまだ確定していないというのが今の現状だというふうに思います。
 この宍道断層の今問題になっている東端、その東側には鳥取沖西部断層、そして東部断層という二つの断層が存在をしております。この二つの断層の間隔はわずか八キロメートル。そして、これらは連動することが想定されるため、この二つの断層で合計九十八キロメートルという評価が、これは中国電力も含めてされております。
 一方、この鳥取沖の断層と今問題になっている宍道断層、宍道断層の東側というこの問題ですが、この間もわずか十九キロメートルというふうになっております。しかし、これは連動はしないというふうに中国電力は評価をしていますが、宍道断層の東側には十キロメートル以上の活断層がある、このようにおっしゃる専門家の方もいらっしゃいます。
 規制委員会としても、この宍道断層の東端が推進本部が言うようにさらに延びるということがもしあるならば、鳥取県沖の断層と連動するという可能性も否定できないと私は思いますが、どのような御見解でしょうか。
○田中政府特別補佐人 私どもは、新規制基準に基づく震源断層の評価に当たっては、そういった今先生御指摘のような複数の活断層の連動の可能性ということも十分にしんしゃくして評価することとしております。今御指摘の宍道断層東端の東側の評価ということもきちっと評価した上で、周辺の活断層との連動の可能性についても厳格に審査していくこととしております。
 連続しているということと、それが活断層としてつながっているということは必ずしも同じではありませんので、そういった点も含めて今後十分に、慎重に審査をさせていただきたいと思っております。
○大平委員 連動も含めて厳格に審査する、そういう御答弁でした。
 これがもし連動するとなりますと、これらの活断層の長さは百四十二キロメートルにもなる。もちろん、一体のものではない、それはイコールではないというお話もありましたが、数字上そうなります。地震の規模やその被害は現在の想定よりも相当甚大なものになることは言うまでもありません。この島根原発も含めて、壊滅的な被害を受ける可能性が格段に大きくなるというふうに思います。
 島根の県知事さんも、我が党県議の質問に対して、この連動性を含む活断層の長さの評価は原発の耐震安全性を確保する上で大変重要だ、規制委員会には常に最新の知見を踏まえ厳格に審査していただきたいというふうに述べておられます。
 そんな中で、中国電力はといえば、この間、二〇一五年六月には、島根原発の低レベル放射性廃棄物を処理する機器の検査報告書を偽造していたことが発覚をしました。また、ことしに入っても、島根原発二号機の中央制御室で空調換気系ダクトに腐食による穴が計十九個も見つかるということもありました。こうした相次ぐ不正に県民の信頼が大きく失われております。
 そもそも、この宍道断層についても、中国電力は、その存在をこの間、当初、否定をしてきました。多くの市民や専門家の厳しい指摘を受けて、一九九八年に八キロメートルの断層を認めた。その後、二〇〇四年にこれが十キロになる。二〇〇八年に二十二キロへと変更、訂正。そして今回、二十五キロと、変更、訂正を繰り返してきました。あるメディアは、島根原発の活断層は成長する、背が伸びる、こんなふうにやゆしたほどでした。
 私は、こうした中国電力の姿勢を鑑みれば、周辺住民の安全を考えるのであれば、何といっても、規制委員会はこの宍道断層の東側の調査、東端の調査を求めている、こういうお話でしたが、中国電力にそういう調査を求めることはもちろんですけれども、規制委員会自身も現地に赴いてしっかりと調査をしなければならないというふうに考えますが、委員長、いかがでしょうか。
○田中政府特別補佐人 まず、こういった活断層の評価の根拠になる調査については、まず事業者が第一義的に行うということが基本であります。
 その上で、私どもとしては、事業者が行った活断層の調査や評価の妥当性について、現地調査も含めて厳格に確認して、その是非を判断していくということで行っておりますので、先生御指摘のような方向に基づいているというふうに私は判断しております。
○大平委員 中国電力のこうした怠慢な体質は、これだけに限ったことではありません。
 この間、大臣もよく御存じだと思いますが、土用ダムのデータの改ざんですとか、地元自治体と交わした公害防止協定の違反、ばい煙規制値超過による大気汚染防止法違反、原発内での相次ぐ火災の発生など、まさに、その怠慢やあるいは隠蔽体質、これは枚挙にいとまがないという状況になっている。さらに、二〇一〇年には、島根原発一号機で五百十一カ所もの点検漏れを起こした。しかし、それが一年間公表されず、点検漏れのまま原発を運転していたという、とんでもない、危険な原発を扱う事業者としてはあるまじき事態を起こしました。
 確認ですが、こうした中国電力の怠慢な姿勢に対して、当時の保安院はどのような保守管理評価を行ったのでしょうか。
○山田(知)政府参考人 平成二十一年度に当時の原子力保安院が試行した保安活動総合評価というものにおきまして、島根原子力発電所一号機及び二号機について、先生今御指摘のございました平成二十二年三月に発生した保守管理不備等を踏まえ、保安規定への違反や検査の実施体制が不十分であることから、最も厳しい評価レベルである「許容できない課題が見いだされた」、区分1というものと評価をしたというふうに承知してございます。
○大平委員 原発の保守管理で全国唯一の、最も厳しいレベル1、許容できない課題ありとしたのであります。
 この点検漏れの後、中国電力は、不正をしない、ルールを守ると、コンプライアンス最優先の業務運営を掲げました。さらに、不正防止の誓いの鐘をつくって、そこへ社長が行って、二度と不正はしませんと誓って鐘をつく、こういうことまでやっているとのことでした。
 しかしながら、再発防止対策を継続、実施中にもかかわらず、先ほど御紹介しました、昨年、低レベル放射性廃棄物の検査報告書の偽造や、ことし、空調換気系ダクトに腐食による穴が十九カ所発覚するなど、こうした中国電力の体質は全く改善していないと言わざるを得ません。
 この問題を最後に大臣に私はお伺いしたいと思います。
 原発に対する考えの違いはあれど、福島原発の事故によって、一たび原発に事故が起これば取り返しのつかない大惨事になることは共通の認識だと思います。にもかかわらず、このように管理に全く改善の兆しが見えない中国電力には危険な原発を扱う資格はない、多くの県民がそう思っている、私はそのように感じますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
○世耕国務大臣 原子力発電所については、いかなる事情よりも安全性を最優先し、そして、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査をして、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の御理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針であります。
 中国電力においても、プラントの安全管理や原子力規制委員会の審査にしっかりと誠実に対応して、安全を最優先に取り組んでいただきたいと考えております。
○大平委員 あの福島原発があったにもかかわらず、私は、中国電力はいまだに原発は事故を起こさないという安全神話につかっていると。何の反省もなく、たび重なる不正を起こす、こうした中国電力に対して、多くの県民から、全国最多の不正を続ける中電に原発を運転する資格はない、もう中電は信用できない、こういう厳しい声が上がっております。
 そうした声に真摯に向き合わない中国電力は、一方では着々と再稼働に向けて作業を進めている。私は、決してこうした姿勢を認めることはできないと言わなければなりません。
 多くの県民の願いは、原発再稼働など論外であり、安全、安心の再生可能エネルギーの普及こそ県民の願いであるということを強く訴えて、次の質問に移りたいというふうに思います。
 そんな中で、さらに重大なのは、こうした不正を何度も起こし、その事実を隠蔽までするような中国電力が、新たな原発の建設を進めようとしていることであります。
 昨年八月三日に、中国電力が山口県上関町で進めようとしている上関原発建設に向けて出していた公有水面埋立免許の期間延長申請を、山口県知事は許可しました。上関原発については、二〇〇八年に当時の山口県知事が埋立申請を認可し、二〇〇九年に埋立工事が着工されたものの、二〇一一年の福島原発の事故を受けて工事が中断をした。二〇一二年に埋め立ての期限が来たため、中国電力は延長申請を累次にわたってしていたが、これまで認められてきませんでした。
 中国電力は、山口県に提出した申請書の補足説明資料の中で、温室効果ガス削減を理由に、安全性に一層すぐれた新規原子力発電所の開発を計画的に進めることが必要だ、上関原子力発電所の開発はこれまで以上に重要だと述べております。
 大臣に伺いたい。
 経産省も、中国電力と同じように、上関原子力発電所の開発が必要、重要だと考えておられるんでしょうか。
○世耕国務大臣 これは全体論として、我々はエネルギー基本計画という大きな方針を閣議決定しているわけでありますが、それに基づけば、今、政府と原子力事業者が注力すべきことは、安全最優先の姿勢で真摯に再稼働に対応していくことであるというふうに考えておりまして、現時点において、このエネルギー基本計画の中で、原発の新増設ですとかリプレースといったものは想定しておりません。
○大平委員 新増設は想定していないという御答弁でした。そうした政府の姿勢であるにもかかわらず、中国電力は上関原発建設を進めようとしています。そして、山口県はそれを追認している。
 中国電力が上関原発の建設を諦めずに進める最大の根拠としているのが、上関原発が政府の重要電源開発地点に指定されていることであります。
 中国電力は、資源エネルギー庁による、上関原発の重要電源開発地点の指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除することは考えていないという、この回答をもって、上関原発は国のエネルギー政策に位置づけられていると主張をしております。そして、山口県は、それを受けて、電源の開発が確実であると、埋め立て延長の申請を許可したのであります。
 指定時と事情の変化がないというふうにおっしゃるわけですが、私は、原発をめぐる状況は、変化がないどころか、福島原発以降、誰がどう見ても大きく変わっていると思います。
 一つ一つ伺っていきたい。
 事故前の二〇一〇年に出された第三次エネルギー計画、そして二〇一四年の第四次エネルギー計画では、それぞれ原発の新増設に関してどのように述べられているでしょうか。
○多田政府参考人 お答え申し上げます。
 二〇一〇年六月、今委員から御指摘のありました東日本大震災の前年に閣議決定をいたしました第三次エネルギー基本計画では、ゼロエミッション電源比率を高めるためにも、二〇二〇年までに九基、二〇三〇年までに十四基以上の新増設を進めていく、こういったことが書かれておりました。
 一方で、第四次エネルギー基本計画におきましては、新増設に関する記載はないところでございます。
○大平委員 二〇二〇年までに九基、二〇三〇年までに少なくとも十四基の新増設が必要だというのが、福島原発事故前のエネルギー計画の内容でした。その後は、言及なしということになっています。
 続いてお伺いしたい。
 二〇〇九年の長期エネルギー需給見通しと、二〇一五年長期エネルギー需給見通しでは、それぞれ、二〇三〇年度の電源構成比、これは原発の割合をどのようにしていましたか。
○多田政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御質問の点でございますけれども、長期需給見通し、二〇〇九年の際には、原子力の発電比率四八・七%という数字を掲げているところでございます。他方で、一五年の方では二〇%から二二%、こういう記載をしているところでございます。
○大平委員 二〇三〇年までに四八、四九%、全国全ての電力の約半分を原発で賄おうと考えておりました。そのために、少なくとも十四基新増設することが必要だと。そして、その新設の中に上関原発も入っておりました。それが、今の計画では新増設には言及しなくなった、できなくなったと。
 私たちは、今の二〇から二二という数字も、そしてそれに向けた原発再稼働にも当然反対ですが、政府の原発に対する方針自身が私は大きく変わっているというふうに言うべきだと思います。だから、先ほど大臣が述べられた、現在新設は想定していないという御答弁だったんじゃないかというふうに思います。
 では、事業者の中国電力自身はどう言っているか。上関原発が重要電源開発地点に指定された当時の二〇〇五年、中国電力は、この上関原発の着工時期、そして発電開始時期を何年としていて、そしてまた、現在ではどういう計画になっているでしょうか。
○多田政府参考人 お答え申し上げます。
 今御質問のございました、中国電力自身がどのように考えているかという点でございますが、中国電力は、二〇〇五年二月に重要電源開発地点の指定を受けたわけでございます。二〇〇五年、平成十七年でございますが、その前年、平成十六年の三月に公表いたしました平成十六年度電力需給計画の概要、こちらによりますと、上関の原発一号機は、二〇〇八年度、つまり平成二十年度に着工し、二〇一三年度、すなわち平成二十五年度に運転を開始する、このような計画でございました。
 最新時点で、今ホームページで公表しております二十九年度の電源開発計画によりますと、着工年度、運転開始年度ともに未定、このように記載があるところでございます。
○大平委員 二〇〇五年時点では、二〇一三年から上関原発を運転開始すると。それが、事故もあり、工事が中断して、今では未定ということに中電自身もしております。
 そもそも、政府が新増設を想定していないと。だから、当然、着工なんてできないと思うわけですけれども、そして中国電力自身も、着工も運転開始も未定だと。どうしてこれで電源開発が確実だというふうに言えるんでしょうか。大臣、どのようにお感じになるでしょうか。
○世耕国務大臣 上関原発については、事業者が有する計画や地元の状況には、今、変化がないわけであります。また、事業者からの重要電源開発地点解除の申し出がない中で、その指定を国みずからが解除する事情はないというふうに考えています。
 ただ、エネルギー基本計画については、二〇一四年四月に閣議決定されたとおりであります。
○大平委員 事情に変化がないという御答弁を繰り返し、大臣、されておられます。
 電源需給の見通しと、では、実際の電力の使用状況についてどうだったか、これも事実を確認したいというふうに思います。
 上関原発が地点指定をされた二〇〇五年二月、その直前の二〇〇四年度の中国電力の電力需給見通し、ここでは、上関原発の一号機の運転開始予定であった先ほどの二〇一三年、この時点での最大電力量と供給力を幾らとして見積もっていたか。上関原発の一号機の最大出力とあわせて御説明いただけますか。
○多田政府参考人 お答え申し上げます。
 当時の見通しといたしまして、中国電力自身の見通しでございますが、二〇一三年度におけます最大需要電力の見通しにつきましては、千二百七十六万キロワット、それから、お尋ねのありました供給力につきましては、一千四百一万キロワット、このような見通しを持っておりました。なお、上関原発一号機の最大出力、こちらにつきましては、百三十七・三万キロワットでございます。
○大平委員 では、実際の二〇一三年の最大電力量と供給量、実績ですね、どういうことになっているでしょうか。
○多田政府参考人 お答え申し上げます。
 二〇一三年度の実績でございます。先ほどお答え申し上げました最大需要電力、こちら、見通しが千二百七十六万キロワットでございましたが、実績は一千百十二万キロワットになります。それから、先ほど見通しとしてお示しをいたしました供給力、こちらは一千四百一万キロワットでございましたが、実績は一千百六十八万キロワットでございます。
○大平委員 予備力は五十六万キロワット、予備率が五・〇%というふうになっていると。
 二〇〇四年時点の見積もりでは、中国電力の計算上、上関原発をつくり、稼働させなければ電力の需要にたえられない、だからこの建設が必要なんだ、こういう理屈でありました。
 しかし、実際どうだったかという実績を先ほど答弁いただきましたが、見れば、上関原発がなくても電力供給は賄うことができたというのが厳然たる事実であります。
 資料の一枚目につけさせていただきました。これは経産省の資源エネルギー庁が出していただいた資料を私のところでまとめたものですけれども、二〇一三年、先ほど御答弁いただいた年の数字は、この表を見てもおわかりのとおり、その前後の年と比べても電力需要が高かった年でありまして、そのほかの年は予備力が約倍、一〇%前後で推移をしております。
 さらに、配付資料の二枚目をごらんいただきたいと思います。これは中国電力自身が出している資料を添付いたしました。中国電力自身も、今後十年間、平成三十八年までと書いてありますが、上関原発をつくらなくても電力供給はできると中国電力自身が計算して出しております。
 つまり、上関原発は電力需給対策、この上でも必要ないということに、中電自身も認めているということになると私ははっきりこの資料からも言えるというふうに思います。
 大臣に重ねてお伺いしたいと思います。
 このように、原発をめぐる状況も、また、この上関原発をめぐる状況も、指定時とは一変している。政府の方針も、そして中国電力の見通しも一変している。そのもとで、この重要電源開発地点指定が地元の混乱と住民の不安のもとになっているということですから、大臣、これはもう私は指定の解除をするべきだと思いますが、御見解はいかがでしょうか。
○世耕国務大臣 繰り返しになりますけれども、上関原発については、中国電力がこれまで用地の取得、発電所設計等の準備作業、漁業補償を初めとする地元との調整を進めてきておりまして、事業者が有する計画や地元の状況には変化がありませんので、その重要電源開発地点の指定を政府の方から解除する事情はないと考えております。
○大平委員 ですから、指定当時と現在は現地の状況も含めて状況は大きく変わっていると、私、一つ一つ確認をしてきたわけです。
 この重要電源開発地点指定に関する規程の中では、その第七条に、経済産業大臣はという主語で、指定を行った重要電源開発地点が第四条第五項に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったとき、その指定を解除することができると定めております。いずれかというふうにあって、総合的というわけではありません。
 そして、この第四条第五項には、指定されるための要件が十二項目、先ほど少し大臣も述べられましたが、その中には、電源開発の計画の具体化が確実な電源であること、あるいは、電力需給対策上重要な電源であること。いずれも、私は、これは要件を満たさないようにもう既になっているというふうに、このきょうの論議で明らかになったというふうに言いたいと思います。
 さらには、都道府県知事の意向について考慮がなされること、こういう項目もあるわけですが、例えば、大臣、山口県の光市、上関町の近隣の自治体ですけれども、この光市では、地点指定における山口県知事への意見聴取の際に、知事が意見聴取し、知事意見にもそれが反映された市の一つであります。この市長が現在では上関原発には明確に反対と述べている。この一点を見ても状況は変わっていると言えるというふうに私は思います。
 きょう、この間、一つ一つの当事者自身の言明やあるいは事実でもって、こうした要件が満たされなくなっている、変わったということを、私は明らかだというふうに思います。そして、冒頭から大臣も繰り返されておられますように、政府自身も新増設は想定していないと言っているんですから、当然、私は、この地点指定は解除するべきではないかと重ねて伺いたいと思います。
 大臣、いかがでしょうか。
○世耕国務大臣 この規程の第四条五項の中身を満たしているかどうかについて、我々は満たしているというふうに考えております。状況にも変化はないというふうに考えておりますので、この指定を政府みずからが解除する事情はないというふうに考えております。
○大平委員 大臣、変わっていない、要件を満たしている、こういうお話でしたね。
 では、大臣は、ちょっともう一回、先ほど聞いたことに戻りますけれども、上関原発の開発の具体化が確実だ、あるいは電源需給対策上この上関原発が重要な電源である、そういうお考えでしょうか。
○世耕国務大臣 国全体のエネルギー政策は二〇一四年四月に閣議決定されたエネルギー基本計画のとおりでありまして、新設、リプレースは想定をしていないということになるわけであります。
 一方で、上関原子力発電所については、事業者が計画を遂行する意向でありまして、法令上必要な手続や一定の地元理解が進んでいることから、計画の具体化が確実な電源であるというふうに考えております。
○大平委員 電源需給の対策上も必要だというふうにお考えですか、要件の一つですが。
○多田政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の、電力の需給という点から御指摘でございます。
 確かに、この電源指定の項目の中に需給対策上重要なということの御指摘があることは事実でございますけれども、一般論でございますけれども、原子力発電所に限らず、発電所の新増設あるいはリプレースといったものにつきましては、各事業者は、電力の需給状況のみならず、電源構成でございますとか事業者全体の発電コスト、さらには地域社会への貢献など、それぞれを総合的に勘案して判断しているというのが一般的なものだと考えております。
 したがいまして、今先生御指摘の、そのことからだけ御指摘というのは当たらないのではないかなというふうに考えてございます。
○大平委員 いやいや、一般論じゃないです、私がお伺いしているのは。電源需給対策上必要か、これが上関原発の要件の一つになっている。政府はこの要件を全て満たしている、こうおっしゃっているわけですから、私は今の答弁は答えていないというふうに思います。
 もう時間が来ましたのできょうは終わりますけれども、この重要電源開発地点の指定が原発の交付金を出す根拠にもなっている。国民の税金が使われているわけですから、こんな曖昧な態度では、私は絶対許されないと思います。
 上関原発の建設は断念し、そして、原発に頼らず、再生可能エネルギーへの抜本的転換を図っていく、こういう政治決断を今こそ重ねて求めて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。