国会質問

2015年05月13日

機械的な経営判断の押し付けやめ私学助成の増額を(文科委員会)

189-衆-文部科学委員会-8号 平成27年05月13日

○大平委員 日本共産党の大平喜信です。よろしくお願いします。
 本日は、私は私立大学の問題について質問をいたします。
 我が国の大学、高等教育は、その多くが私立、私学によって成り立っています。大学、短大の学生数の約八割、大学数でも七割を私学が占めています。
 まず大臣に基本的な御認識をお伺いしますが、私立大学が高等教育に果たしている役割について、大臣の御所見をお聞かせください。

○下村国務大臣 御指摘のように、私立大学は我が国の大学の約八割を占め、独自の建学の精神に基づき、個性豊かな教育研究活動を展開しており、我が国の高等教育の発展に極めて重要な役割を果たしております。社会経済情勢が急速に変化し、多様化する国民ニーズに応じた特色ある教育研究の推進が求められる中で、私立大学が果たすべき役割はますます重要になってくると考えます。
 文科省としては、このような私立大学の特性と役割に鑑み、私立大学の振興を図り、私立大学に対する社会の信頼と評価を一層高めるとともに、その教育研究条件の維持向上に努めていくことが重要であると考えます。

○大平委員 大臣も、私学の役割は極めて重要だという御答弁でした。
 ところが、現在私学が置かれた状況は、どこも大変厳しいのが現実となっています。特に、地方の中小の大学の経営は大変厳しいと私も聞いています。
 教育基本法第八条では、「国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。」とあります。国などによる私学への支援を求めているんですけれども、そこで伺いますが、この間、文部科学省として私学経営をどのように支援してこられたのでしょうか。

○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 私立学校の重要性に鑑みまして、委員御指摘のとおり、教育基本法第八条におきまして、私学の振興に関する国、地方公共団体の責務が規定されているところでございます。
 文部科学省といたしましては、この規定の趣旨を踏まえまして、私立学校等経常費の補助、あるいは、施設設備の整備等の私学助成の充実、それから、寄附金税制を初めとする私学関係税制の充実、また、学校法人に対する経営指導、支援の充実など、幅広い側面から支援施策を推進し、私立大学の振興に努めているところでございます。

○大平委員 経常費補助などの私学助成の充実とともに、私大経営の改善の援助、支援というお話がありました。
 そこでお伺いしますが、文部科学省の諮問機関になるんでしょうか、私学事業団がつくっている経営判断指標というのを私は今回初めて知りました。経営判断指標とは何かについて、制度の問題なので、簡単にお答えいただけるでしょうか。

○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 この経営判断指標につきましては、文部省所管の独立行政法人日本私学振興・共済事業団、こちらの方で作成をしている指標でございます。
 この指標につきましては、それぞれの学校法人において、各私学の経営状態をあらかじめいろいろな側面で把握する。例えば、キャッシュフローの観点でプラスかマイナスかとか、あるいは、負債と資産との関係で負債が超過しているかどうか、こういった観点をさまざまな側面で判断して、早い段階で、その私学において経営面で問題がないか、それを把握した上で、あらかじめ必要な対策を講じる、そういった観点でこの指標を提示しているということでございます。

○大平委員 経営判断指標とは、私も今回初めて見ました。
 簡単に言いますとこういう表なんですけれども、大学の財務状況について、はいといいえでフローチャート形式で答えていきながら、アルファベットのAの正常状態からB、C、D、イエローゾーン、レッドゾーン、こういう形で財務状況を格付するものとなっています。
 きょうはその細かな内容に入っていくつもりはないんですけれども、例えばこのフローチャートの一問目を見てみますと、大学の一番の本業である教育研究活動のキャッシュフロー、収支が赤字かどうかというものが一問目の問いになっています。
 聞くんですけれども、そもそも各私学がこの教育研究活動のキャッシュフローで赤字にならないようにするには、各私学はどういう努力をすればいいのか、どうすればいいのかについてお答えください。

○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、学校法人が運営する私立大学においてその経営がいわゆる赤字にならないようにするためには、収入を拡大しつつ、かつ、支出を抑制するということが大切でございます。
 具体的には、学生数の確保により、私立大学の主な収入源となっている学生等納付金収入、この増加を図るほかに、各種寄附金あるいは各種補助金、こういったものの獲得に努めるということが大切でございまして、また一方で、人件費、あるいは教育研究費、それから管理的な経費、こういったものの各支出については、適切な見直しを行っていくということが重要であるというふうに認識しております。

○大平委員 収入についてはまた後で質問したいと思うんですけれども、支出の抑制というお話の中で、教職員の人件費の適切な見直しという言葉もありましたけれども、これはつまり削減ということになると思います。
 教職員の解雇や賃金の切り下げ、あるいは正規職員を非正規に置きかえたりすれば、教育の質は言うまでもなく低下をしてしまう。優秀な教職員が減り、教育研究の質が低下をしては、学生の確保というお話もありましたが、結局学生も集まらず、定員の確保も危ぶまれてしまう、いわば悪循環に陥ってしまうと私は思います。
 教職員人件費の削減で経営改善を図るという方策は私は安易にとるべきではないというふうに思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

○下村国務大臣 それはおっしゃるとおりでありまして、一般企業でいえば商品というのは、つまり、その大学にどんなすばらしい先生方がそろっているかどうかということが大学の魅力になるわけでありまして、優秀な先生を確保するためには、それなりの人件費も当然出さなければ、いい先生に来てもらえるわけがありませんから、人件費を削減するということは、大学の魅力を減らすということになってしまうわけであります。
 ですから、教職員の人件費、これが大学の経営を一方で圧迫することのないように留意する必要が重要ではありますが、各大学がそれぞれ建学の精神に基づいて質の高い教育研究活動を実施するために、教職員の配置については適切な配置をするということがこれは不可欠でありまして、少なくとも教育研究に支障を来すことがあってはならないわけでありまして、それぞれの学校法人の実情に応じた取り組みについてしっかり行う必要があると思います。
 文科省としては、各学校法人の経営改革に係る取り組みを支援し、私学全体の健全な発展が促進されるように支援をしてまいりたいと思います。

○大平委員 大臣、適切な配置が不可欠というお話がありましたが、私、何でこういう質問をするかと言いますと、今、多くの私立大学で、この経営判断指標を盾にして教職員の解雇や賃金の切り下げなど労働条件の不利益変更を行う動きがありまして、その問題でのいわゆる労働裁判もふえているということを聞いているからなんです。
 なぜふえているか。先ほども少し述べましたが、この経営判断指標のフローチャートの第一で、教育研究活動のキャッシュフローで赤字になっていないかを問い、ここで赤字となってしまえば、その大学はもう必ずイエローゾーン、レッドゾーンという判定を下されてしまうからなんです。
 一方で、このキャッシュフローで黒字になるということはどういうことかといいますと、その年に学生から集めた学費をその年の教育サービスとして使わずにため込んでいるということであり、このため込み額が多いほど、いい評価になるという仕組みになっている。
 そもそも、教育活動は企業活動とは根本的に違って、黒字を生むことが目的ではない。これは言うまでもないと思いますが、教育に関するお金が余ったかどうか、黒字か赤字かというだけで経営判断をするということが正しいのかということを問わなければならないと私は思いますけれども、そのことをおいておいたとしても、私学助成の配分を行う文部科学省所管の私学事業団がこの経営判断指標を行い、いわば文部科学省がお墨つきを与えた経営判断だと見えるわけで、だからこそ、私立大学はこの指標を一つでもよくしようと必死になり、乱暴な労働条件の不利益変更などが少なからず行われていると私は思っています。
 そもそも、現場からも機械的で安易な判断が導かれてしまうという批判もあるこの経営判断指標が、いわば金科玉条のように扱われ、私立大学をランクづけするようなやり方は私は改めるべきだと思いますが、大臣いかがでしょうか。

○下村国務大臣 この経営判断指標は、御指摘があった、文科省がお墨つきをつけるというようなことではなくて、これは日本私立学校振興・共済事業団が作成しているものでございます。
 これは、各学校法人がみずからの経営状況を客観的に把握、分析をし、早期に必要な取り組みを検討、着手するための指標としてこの日本私立学校振興・共済事業団が経営判断指標をつくったものでありますが、あくまでも各学校法人が自己点検のために用いるものであって、逆に言えば、これに拘束されてそういう発想であったら、そもそも、私立学校そのものがこれから成り立ちいくような甘い時代じゃないと思うんですね。
 ですから、ぜひ各私立学校は、よりその経営能力を発揮していただいて、これも大切ですけれども、この範囲内での発想での経営ということではなくて、しっかり対応していただきたい。
 いずれにしても、この経営判断指標というのは、第三者が私立大学をランクづけするような性格のものではないということであります。

○大平委員 この経営判断指標ができたのが二〇〇七年、実際には、このフローチャートが示されてから、この判断を大きな盾にしての労働裁判の数がふえているという事実は強調しておきたいというふうに思います。
 大臣もお認めのように、教育研究の質の低下を招く人件費の削減を安易に行うべきではないということを重ねて訴えて、次の問題に移ります。
 キャッシュフローをでは黒字化するためには、先ほどもありましたけれども、支出の削減とともに、収入をふやさなければなりません。
 では、収入のうち一番大きいものは何で、それが全体の何割を占めているのか、お答えください。

○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 私立大学の収入で最も多いものは、学生が納める授業料などの学納金でございます。この学納金は、平成二十五年度の実績で、いわゆる帰属収入全体のうち七六・九%を占めております。

○大平委員 つまり、収入の一番大きいものは学生父母の負担による学費だということで、それが全体の四分の三を占めているということでした。この現状は、私学にとって学費なしにはその経営そのものが立ち行かなくなるという構造であることを示していると思います。
 一方で、日本の私学の初年度学生納付金、これは授業料に入学金、施設整備費などを合計した金額ですけれども、その全国の平均額は約百三十一万円となっています。大変重い家計負担になっています。
 日本政府は、高等教育の漸進的無償化を定めた国際人権A規約第十三条二項(C)の留保を撤回して、高等教育も無償化を目指すと言っています。そう言っている以上、学費は上げるのではなく、どうやって一歩ずつでも下げていくのかということを考えなければならないと思います。そのために国が本来果たすべき役割は、私学助成を拡充、増額することだと思います。
 そこで、私学助成の仕組みそのものをお聞きしますが、私学の基盤的経費である私学助成そのもの、経常費補助金の特に一般補助はどのように算定されているのか、お答えください。

○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 委員お尋ねの私立大学等経常費補助金につきましては、その一般補助は、教員や学生の人数等に単価を乗じて補助金の基準となる額を算出するという仕組みになっております。
 それから、先ほどちょっと私の方で答弁申し上げた日本私立学校振興・共済事業団、この設置形態について独立行政法人と申し上げましたが、特殊法人の誤りですので、訂正させていただきたいと思います。

○大平委員 今の私学部長の説明のとおりであれば、私立大学の教育研究活動の多くの部分が私学助成によって補助されることに計算上なるんですけれども、実際は違うというのが現状です。
 これはなぜか。調べてみますと、先ほどあった基準額の算定をした後に傾斜配分や減額調整などを行った上で、最後に、交付額が予算額におさまるようにということで圧縮調整なるものを行っているからであります。
 この圧縮調整とは何かについてお答えください。

○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 私立大学経常費補助につきましては、めり張りのある配分のために、教育条件や財務状況等に応じて、傾斜をかけて各大学の補助金額を算出しているということでございます。
 しかしながら、各大学からの申請額の合計が予算の額を上回るという状況のために、補助金額について、予算額の範囲内におさまるよう圧縮してこれを配分するという仕組みをとっているわけでございます。

○大平委員 この圧縮調整によって抑えられた割合を圧縮率と呼んでいるそうですけれども、現在の圧縮率はどのぐらいで、この間の推移はどうなっているか、お答えください。

○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十六年度における圧縮率は約〇・六八八となっております。
 それから、過去五年間におけるこの圧縮率の推移でございますが、平成二十一年度が約〇・七一八、平成二十二年度が〇・七〇九、二十三年度が〇・八三二、二十四年度が〇・八〇六、二十五年度が〇・七六八という状況でございます。

○大平委員 私たちはこの基準額の算定方法そのものにも意見があるんですけれども、この方法で算定をされた金額からも、何と、一番新しい数字では三割以上も圧縮をされて実際の交付額が決定をされています。
 先ほど部長は五年間の推移をおっしゃられましたが、十年、十五年前までは、この圧縮率が九五%を下回ることはなかったんですね。それが、この十年、十五年でどんどんと圧縮をされて、今では六八%。もう、この基準額の算定そのものが否定されかねないようなところまで圧縮されているというのが今の現状です。もとをたどれば、結局予算がふえていないということが言えると思うし、ふえていないどころか、この十年ほどは減少の傾向になっています。
 私学助成の現状の補助割合は今どの程度か、また、過去最高時はどの程度まで補助していたのか、お答えください。

○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十五年度の私立大学等の経常経費に対する補助金の割合は一〇・三%となっております。過去におきましては、平成五十五年度において補助割合が二九・五%でございました。

○大平委員 かつては二九%まであったが、近年は一割にとどまっているのが実情です。
 もともと国は、私学の役割にふさわしい活躍をしてもらうためにどのくらい助成をしなければならないと言ってきたのかという点について調べてみますと、一九七五年、昭和五十年に制定をされた私立学校振興助成法という法律を見つけました。このときに附帯決議もあわせて採択をされているんですが、その第一にはどのように書いているでしょうか。

○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の昭和五十年七月一日の参議院文教委員会で決議された私立学校振興助成法案に対する附帯決議におきましては、具体的には、「政府は、本法の運用にあたり、私立学校教育の特質と重要性にかんがみ、次の事項について特段の配慮をすべきである。」ということで、第一として、「私立大学に対する国の補助は二分の一以内となっているが、できるだけ速やかに二分の一とするよう努めること。」というふうにされているわけでございます。
 それから、先ほどちょっと私、経常費補助の割合で過去最大が平成五十五年度と申し上げましたが、昭和五十五年度の誤りでございます。訂正いたします。

○大平委員 附帯決議でも言われているとおり、速やかに経常費の補助割合を二分の一とするよう努めることが求められている。現在一〇%ですから、すぐに五割ということにはならなくても、せめて、先ほど来あったように、三割もカットするような圧縮調整をしなくていいところまでは私は直ちに引き上げていくべきではないかと思います。こうして私学助成の補助割合を段階的に引き上げていくことで、私学の学費も下げていく展望も見えてくると思います。
 私学助成の補助割合を抜本的に引き上げていくべきだと思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

○下村国務大臣 基本的にはおっしゃるとおりでありまして、「二分の一以内を補助することができる。」というのがこの私立学校振興助成法の規定でありますから、限りなくそれに近づけなければならないのを、逆にどんどん補助率の割合がこの数年間下がっているということについては、これは問題であるというふうに思います。
 今後、高等教育だけではありませんが、教育全般、私立学校に対してもしっかりとした財政的な支援をすることによって、どんな家庭の子供であっても、公立私立問わず、自分の行きたい学校に経済的なハンディキャップなく行けるような環境づくりのために、さらに私学助成の充実を図っていくように頑張りたいと思います。

○大平委員 私はこの間、私学に通う学生の声をたくさん聞いてきました。ここにも持ってきているんですけれども、親が退職し、退職金で何とか学費を払っているけれども、家計は厳しい。家族に迷惑をかけたくないので昼御飯を抜きにすることが多い。週五日、夜の十時半までバイトをしている。長引くことも多くあり、朝起きるのがつらいなどなど、こうした学生たちの可能性が閉ざされないよう、学費の値下げを進めていくためにも、私学助成を抜本的に引き上げることを重ねて訴えまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。