エッセイ

2016年11月30日

一年半ぶりの憲法審査会(2016年11月30日「しんぶん赤旗」西日本版・水曜随想)

 11月17日と24日、衆議院憲法審査会がおよそ1年半ぶりにおこなわれました。「憲法制定経緯」「立憲主義」をテーマに各党、各委員が意見表明。私は「立憲主義」について、これまで歴代の自民党政権も、また自民党の各議員でさえも、日本国憲法の下で集団的自衛権は行使できない、解釈で変えるべきではないと明確に述べていたことを指摘しつつ、「憲法の拘束のもとで政治を行うべき安倍政権が、憲法を乗り越える恣意的な解釈によって集団的自衛権の行使を認めたことこそ、立憲主義に反するものだ」と訴えました。

 そして、集団的自衛権行使容認の閣議決定と安保法制は、例えどれだけ時がたとうとも立憲主義に反し、憲法違反のままであり、昨年、多くの市民が「立憲主義守れ」と国会を包囲し、いまなお声をあげ続け、1500万筆をはるかに超える戦争法廃止の署名が全国から寄せられている、まさにこれこそが国民の声だと突きつけました。

 民進党、社民党の皆さんと「安倍政権のもとでの憲法改悪に反対する」という旗印に固く結束して攻勢的に討論をおこなうなか、公明党も「押しつけ憲法という主張自体、今や意味がない」と述べたり、改憲勢力の急先鋒である維新の党ですら「自民党の草案が国民の支持を得る内容とは考えていない」と言わざるをえないような状況に。

 ふりかえれば2年前、改憲手続法改正案の採決の際、50人の同審査会で49人が「賛成」と起立する中、日本共産党の笠井亮さんただ一人、「国民の多数は解釈改憲も明文改憲も望んでいない。手続法の改定は国民の要求から出たものでない」と断固反対、着席をつらぬいたその画を思い出しました。この間の国民のたたかいの発展、そして日本共産党の前進が、野党共闘を力強く前に進め、この道にこそ政治変革の希望があること、そしてその力が「改憲勢力3分の2」という構図をさっそく揺るがし始めていること――憲法審査会の議場から、そのことを痛感しています。