結婚・選択的夫婦別姓を考える (民報2020年8月号)
冒頭から私事ですが先日、私たち夫婦の結婚記念日で丸18年を迎えました。久しぶりにゆっくりランチをしながら、おたがいに感謝と労をねぎらいました。
あらためて結婚とは何のための、誰のためのものなのか考えさせられます。先月、広島高裁で行われた選択的夫婦別姓を求める裁判を傍聴。原告の恩地いづみさんのご自身の体験とあわせた「同姓強要は憲法違反だ」との法廷での陳述や、報告集会での当事者たちから通称使用の不都合など様々な実態を伺いました。思い起こせば昨年の参議院選挙の際、党首討論の場で「選択的夫婦別姓を認めるか」と問われ自民党の安倍総裁だけが手を挙げず、「(同制度は)経済成長とは関わりがない」と述べたことに開いた口が塞がりませんでした。比例中国ブロック選出の自民党の杉田水脈衆議院議員は、「(同性カップルは)生産性がない」と言い放ったのに続いて、今年1月の本会議、野党議員が質問中、夫婦同姓を望まない人がいると述べたのに対し「だったら結婚しなくていい」とヤジを飛ばしたことも記憶に新しいところです。
こうした政権の下で、今各地で進められている「官製婚活」(国や自治体が行う婚活支援事業)は本当に問題だらけです。そもそも婚活支援の出発点が「日本では人口減少が進んでいる」から始まります。国をあげて、学生や若い女性たちを対象に「卵子の老化」だの「妊娠適齢期」だの不安をかきたてながら、20代での結婚・妊娠を強力に推進しています。一方で、結婚の様々な形や性の多様性、妊娠や出産に関する自己決定権などの視点はほとんどなく、個人の尊厳と幸福追求の位置づけが完全に欠落。今日においてもあいかわらず彼らにとって結婚は「お国のために産めよ殖やせよ」のためでしかないようです。
最後はいま最も世間をにぎわせている巨額買収事件で逮捕のあの夫婦。何のための結婚なのかとは、もはや問う気もありませんが、とにかく一日も早く夫婦〝相〟辞職を。