エッセイ

2020年10月30日

住民脅かす米軍の横暴 (民報2020年11月号)

「不安で夜も眠れない」「しっかり対策をとって二度と起こらないようにして」――そう話すのは広島市西区にお住まいの70代女性Tさん。10月3日の夜9時半、米軍岩国基地所属で22歳の海兵隊員がお酒に酔ってTさんのお宅の窓を叩き割って侵入し、ご夫婦に「お金!お金!」と迫るという事件が発生しました。かけつけた警察に現行犯逮捕され幸いご夫婦は無事でしたが、私が事件から3日後ご自宅にお見舞いに伺った際にもTさんは手を震わせていました。〝殴りこみ部隊〟と称され日々戦闘訓練をしている海兵隊員が突然襲ってきたのです。ご夫婦が感じた恐怖はどれほどのものだったか想像に難くはありません。

岩国基地は空母艦載機60機の移駐に加え、この間墜落事故を繰り返している欠陥機F35Bが2017年に16機配備され、今年10月からも「機種更新」の名のもとにさらに16機の追加配備が狙われています。そうした中で広島県では低空飛行訓練の目撃件数が16年度1227件だったのが18年度には1843件と1.5倍に増え、岩国の錦帯橋上空から広島の原爆ドームの真上まで市街地でも当たり前のように飛び回り、鳥取県の最東端の若狭町でも爆音飛行が増えています。岩国基地の増強が中国地方全体で爆音被害と墜落や犯罪の危険を広げ、住民の平穏な暮らしを奪っているのです。

しかしそんな米軍の横暴勝手に対して日本政府は相変わらずの言いなりです。先日、米兵犯罪とF35B配備の件で中四国防衛局に要請に行きました。事件から一週間も経つのに防衛局からは被害者宅に誰も行っていないこと、F35Bの墜落事故の原因は「調査中」と言いながら「機体に問題はない」という矛盾した答弁を聞き、その無関心・無責任ぶりにはさすがに机を叩きました。

もちろん住民は負けていません。イージスアショアの配備計画を町ぐるみの運動で断念に追い込み、岩国でも市民と野党の共闘がかつてなく広がり日本共産党への信頼も高まっています。このたたかいもやっぱり決着は総選挙、ですね。