エッセイ

2020年11月20日

われわれが国民の代表  あかはた新聞西日本版水曜随想11月18日

「物事をよりよく知っているに違いない、大きくて、豊かで、強力な国々の目には(我々小国は)どうでもいい小石のように映ってきた。(しかし今や)我々の挑戦を認めなければならない。長きにわたって訴えてきたが届いてこなかった我々の声――人民と進歩・共同・原則を代表する我々の声が聞かれなければならない」。この格調高い演説の主は、カリブ海に浮かぶ人口11万人の小さな島国、セントビンセント・グレナディーンのラルフ・ゴンザルベス首相。来年1月発効の核兵器禁止条約に同国は昨年7月に批准、この国を含め中南米地域では21カ国が批准しています。「アメリカの裏庭」と呼ばれてきたこの地域ですから、きっとアメリカからの「批准を撤回せよ」という圧力は他のどの地域よりも強いものだったに違いありません。しかし冒頭の演説のように「我々こそが世界人民の代表だ」と堂々とうったえ、大国の圧力を断固としてはねのけ、この条約を発効へと導いたのです。

3年前、核兵器禁止条約を採択した国連会議に私も日本共産党代表団の一員として参加し、会議の傍聴とともに各国政府代表との懇談も意欲的に行いました。その中の一人、アイルランド(もちろんこの国も批准しています)のジャッキー・オハロラン軍縮・不拡散副局長が「アイルランドは小さな国であるがゆえに、法の秩序そして人道主義を徹底して順守してきた」「大国は自分がルールだと言わんばかりに横暴勝手に行動をする。そういうものとたたかうためにはこちらは徹底して法の秩序を順守することが大事なんだ」と述べたことが、その毅然とした姿勢とともにとても印象に残っています。

一方、日本に目を向ければ〝自分がルールだ〟と法解釈を勝手にねじ曲げ、自分と意見の違うものを排除したかと思えば、大国にはまともにものが言えない唯一の戦争被爆国の政府。何重にも情けないかぎり。ゴンザルベス首相のように今こそ私もうったえねば――「我々こそが日本国民の代表だ!」