国会質問

2016年03月24日

地方税法改正案等への反対討論(3月1日本会議)

衆議院会議録情報 第190回国会 本会議 第13号

○大平喜信君 私は、日本共産党を代表して、地方税法改正案並びに地方交付税法改正案に対する反対討論を行います。(拍手)
 地域の再生が重要な課題となる今、地方自治体の役割は、憲法と地方自治法に基づき、住民の福祉の増進を進めていくことであります。そのためには、地方が必要とする財政基盤を国が保障することが重要です。
 全国の地方自治体が安定的に住民サービスを行うためには、地方交付税制度の二つの役割、財源保障機能と財政調整機能の拡充が必要です。同時に、地方の自主財源を豊かにすることが必要です。
 ところが、今、安倍内閣は、地方交付税制度を変質させようとしています。
 その一つが、地方交付税の算定へのトップランナー方式の導入であります。学校給食や公園管理などの自治体業務で、民間委託などで削減した経費水準を標準として、単位費用に反映するものであります。
 地方交付税を使って、自治体に一層のアウトソーシングを押しつけることは許されません。しかも、対象となる業務の単位費用が縮減されれば、地方交付税そのものが削減されることになるのであります。
 この方式を地方税の徴収率にも導入することも重大です。徴収率の向上が主な目的となれば、強引な徴収のやり方が一層広がることになります。トップランナー方式の導入はきっぱりとやめるべきであります。
 地方の財源不足は二十一年連続です。地方交付税法は、財源不足が続く場合、法定率の引き上げ等で対処すると定めています。国がやるべきことは、この規定に基づき、法定率を抜本的に引き上げることであります。不足分を、臨時財政対策債の発行や国と地方の折半ルールによって、地方に負担を押しつけるやり方はやめるべきです。
 次に、外形標準課税の拡大は、地域の活性化にも雇用の確保にも逆行するものであり、絶対に行うべきではありません。
 外形標準課税の拡大は、大企業の法人実効税率を引き下げるための財源づくりにほかなりません。黒字企業の負担は軽減される一方、赤字の企業や、どうにかやっと黒字で頑張っている所得の少ない企業に負担を強いることに、まともな道理はありません。
 政府税制大綱は、今後、資本金一億円以下の中小企業への外形標準課税の拡大を検討するとしています。中小企業への拡大は行うべきではありません。
 本法案は、中小企業への外形標準課税の拡大への流れをつくるものであり、断固反対するものです。
 政府は、消費税を八%に増税したことで自治体間の税収格差が広がったとして、法人事業税を国税化したのであります。今度は、消費税を一〇%にするからと、法人住民税を地方から召し上げるのは本末転倒であり、二重三重に許すことはできません。
 最後に、高市総務大臣の放送番組への介入発言です。
 高市総務大臣は、一つの番組のみでも、政府が、放送法第四条の政治的公平性を判断できるとしています。
 そもそも放送法は、戦争遂行に協力した戦前の反省に立ち、放送の自由、番組編成の自由を定め、憲法が保障する言論、表現の自由に基づいて、政府の放送番組への介入を遮断して、放送の権力からの独立を担保するものであります。
 このもとで、放送法第四条は、政治的公平性などを放送事業者がみずから守るべき規範としているのであって、政府が判断し、介入することなど絶対に許されないのであります。
 憲法と放送法に基づく、言論、表現の自由、権力からの独立を踏みにじることは、断じて許されません。
 以上述べて、反対討論を終わります。(拍手)