国会質問

2016年12月10日

被災者に寄り添った支援を(11月17日災害対策特別委員会)

衆議院会議録情報 第192回国会 災害対策特別委員会 第3号

○大平委員 日本共産党の大平喜信です。
 先ほど委員長から御報告もありました台風十号を初めとした豪雨災害によって、犠牲になられた方とその御遺族の皆さん、また被害に遭われた皆さんに、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。
 東北の被災地は東日本大震災から復興途上での災害であり、国として必要な支援をやり切ることを私からも求めておきたいと思います。
 去る十月二十一日、鳥取県中部を中心に最大震度六弱の地震が発生しました。鳥取県では、十一月十六日現在で、二十一人の人的被害、全壊十五棟、半壊百一棟、一部損壊一万二千九百一棟の住家被害が出ております。被害に遭われた方への心からのお見舞いを申し上げたいと思います。
 私自身、発災翌日に鳥取県倉吉市、湯梨浜町、北栄町に伺い、被災者の皆さん、そして首長さんを初め職員の皆さんにお会いし、お見舞いを申し上げるとともに、被害状況やお困り事、御要望などをお聞きしました。
 発災からもうすぐ四週間となります。時間の経過とともに刻々と状況も変わり、要望の内容も変わってきておりますが、我が党の地元地方議員らとも連携して、私たちがつかんでいることをお伝えし、御要望も含め、政府の対応、対策についてきょうはただしたいと思います。
 まず、罹災証明書の交付についてです。
 災害対策基本法では、第九十条の二で罹災証明書の交付について述べております。市町村長は、住家被害その他当該市町村長が定める種類の被害の状況を調査し、当該災害による被害の程度を証明する書面、罹災証明書を交付しなければならないとあります。
 つまり、当該自治体の首長の判断で、住家以外の不動産被害や家財等の動産被害、被災住民の人的被害等についても任意に証明事項とすることができるということで間違いないでしょうか。内閣府に確認です。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
 災害基本法では、罹災証明書は災害による住家の被害程度を必ず証明事項とすることが規定されておりますが、住家以外の不動産被害や家財等の動産被害、被災住民の人的被害等についても、被災者の利便性の観点から、任意に証明事項とすることが可能となってございます。
 なお、住家以外の被害程度についても証明事項とできることについては、内閣府で作成をいたしました被害認定業務の手引に明記してございますほか、定期的な説明会に加えまして、大規模な災害が発災した後に実施している被災自治体職員向けの説明会等でも周知を図ってきているところでございます。
○大平委員 ありがとうございます。
 伺いましたところ、ある被災者の方がブロック塀の被害を申請したところ、行政から、対象外であると受け付けてもらえなかったという事例がありました。
 今回の鳥取地震では、住家に被害はなくても、塀や蔵など、こうしたものが壊れた世帯が少なくありません。当然、修復のための出費が伴うわけで、住家だけにとどまらない被災の認定を行い、罹災証明書を交付することが求められています。
 ぜひ、先ほども、手引に明記、説明会等ありましたけれども、こうした現状ですので、県や関係自治体の担当者までこの災対法九十条の二のその趣旨がきちんと伝わるように周知徹底を行っていただきたいというふうに思います。
 さらに、被害認定の問題についてお伺いします。
 住家被害の一次調査は外観被害のみであり、家の中、内部調査は二次調査で初めて判定されます。今回の地震では、内部被害が多いことから、一次調査のみでは実態に見合った被災者の納得いく被害認定がなされないというケースが多く生まれています。しかし、内部被害を見る二次調査があることが被災者に余り知られておらず、さらに、二次調査は被災者自身が申請をしないと行われないことになっています。
 言うまでもなく、罹災証明書に記載される住家被害の判定結果は、その後の被災者支援の内容に大きな影響を与えるものであります。国として、県や関係自治体とも連携をして、きちんと被災者に二次調査のことが知られ、希望する人にはきちんと行われるように徹底していただきたい。これは大臣に伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○松本国務大臣 罹災証明に記載される住家被害の調査結果は、その後の被災者支援のための基礎的な資料であることから、被災者から市町村に第二次調査の依頼をすることが可能であることを被災者に十分周知するよう、年度当初に内閣府から通知を出させていただいているところでございます。また、大規模災害が発生した場合には、改めて通知を発出するとともに、国の職員を派遣して行う自治体向けの説明会でございますが、こちらでも周知徹底を図っているところでもございます。
 しかし、先生御指摘のように、さらに住民の皆さんにお伝えをしていくということは、地方公共団体の職員そのものがよく内容を理解しなければなりませんので、今後とも、適時適切に助言を行ってまいりたいと思います。
○大平委員 大臣、よろしくお願いしたいと思います。
 被災者支援の問題について伺いたいと思います。
 私も現場を直接見てきましたし、この間報道でも映し出されておりましたが、今回の鳥取の地震では、かなりの住家で屋根瓦が落ちるという被害がありました。四週間たった今でも、相当の数の家の屋根にブルーシートが張られたままであります。
 ある被災者のお話では、屋根瓦を修復するのにおよそ百万円かかると言われた、しかし、そんなお金は用意できず、ブルーシートを張ったままで過ごすしかないとおっしゃっておられました。このまま放置をすれば、大雨が降ったり、これから冬になれば山陰地方はたくさんの雪も降りますから、雨漏りがして、急速に家が傷んでいく、しかし、資力はなく、どうしようもできない。
 私、こういう人を放っておいていいのかと思うわけですが、大臣、これは通告していないんですが、こういう現状を放っておいていいと思われるでしょうか、いかがでしょうか。
○松本国務大臣 被災者生活再建支援制度が適用された場合には、これは、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた方、具体的には、住宅に全壊や大規模半壊等の重大な被害を受けた世帯に限って支援の対象としておりまして、最大三百万円が支給されるという仕組みとなっております。
 また、本制度は、被災市町村や都道府県のみでは対応が困難な、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合には、全都道府県の相互扶助及び国の財政支援によりまして対応するものでございます。
 このような制度の被災者生活再建支援金の支援対象の拡大につきましては、東日本大震災を初め過去の災害の被災者との公平性、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して、慎重に検討すべきものだと考えているところでございます。
 なお、住宅に一部損壊の被害を受けた方々に対しましては、これは住宅金融支援機構の災害復興住宅融資等の支援措置が講じられているところでございまして、引き続き、被災自治体と一体となって、被災者の方々へのきめ細かな支援策を講じていきたいと考えます。
○大平委員 次の質問の答弁もしていただいたわけですけれども。いろいろおっしゃっていただきましたが、やはり何らかの支援は必要だという御認識を大臣もされたというふうに思います。
 この間、被害認定の調査が進む中で、この地域でも全半壊世帯が急増しまして、北栄町は全壊世帯が十世帯を超えました。今後、他の自治体でも調査が進む中で、本来の被害状況が明らかになってくると思います。
 そうした中で、被災者生活再建支援法の適用になれば、先ほど大臣がおっしゃったとおり、全壊と大規模半壊には支援金が支給をされますが、今回の住家被害の大部分を占める一部損壊世帯への支援はありません。
 実は、この間の被害認定では、先ほど申しました、屋根瓦が一つ残らず全部落ちても半壊にすらならない、こういう被害認定になっているわけですね。一部損壊の被害といってもこういう状況なわけです。修復に数万円で済む被害から、数百万円かかる場合もある。屋根瓦が全部落ちても一部損壊であり、また逆に、屋根瓦の一部分が落ちたということでも家によっては全て張りかえることが必要にもなってくる。早く修復しなければ住めなくなってしまう、家が傷んでしまいかねないが、経済的にさまざまな困難があり、直したくても直せないことになっているのが今の被災者の実態であります。
 こうした現状を目の前で見ている鳥取県は、今回、被災者住宅再建支援基金を活用して、一部損壊の世帯に対しても最大三十万円の支援をすることを決めました。この基金は、二〇〇〇年の鳥取県西部地震の経験を踏まえ鳥取県が創設したものであり、その後一部損壊の支援は廃止され、今日まで来ていたのですが、今回の地震を受けて、被害の大半が一部損壊であったために、何らかの支援が要る、ここに支援しない限り被災者の生活再建と復旧復興が進まないと県知事が復活を決断されました。
 改めて大臣に伺いたいと思います。
 毎年のように全国各地で大規模地震が発生し、被害の規模も大きくなっています。従来の対応では応えられなくなっている。厳しい財政事情の中でも、被災者の一日も早い生活再建へとこうして鳥取県のように奮闘されておられます自治体に、自治体に対する支援も強化すべきではないでしょうか。被災者生活再建支援金の拡充、災害救助法の応急修理の拡充もあわせて求めたいと思いますが、いかがでしょうか。もう一度お伺いします。
○加藤政府参考人 今先生の方から、鳥取県の独自の支援制度のお話をいただきました。
 先ほど大臣から答えさせていただいたとおり、国の支援というものは、被災市町村あるいは都道府県のみでは対応が困難な場合に国としても支援をしておるところでございまして、その国の支援と地方自治体の支援と一緒になって被災者の方に支援を申し上げるというようなことで考えてございまして、拡大につきましては、先ほど大臣から申し上げたとおりのような見解ということでございます。
○大平委員 厳しい財政状況の中でも、自治体はこうして、目の前で放っておけない現実があるからやっているわけですよね。それに対する国の支援が必要ではないかということを求めているわけでございます。ぜひとも、引き続き検討していただきたいというふうに思います。
 次に、福祉避難所について伺いたいと思います。
 今回、倉吉市では福祉避難所が二カ所設置をされましたが、高齢者や障害者の方たちから、遠くて行かれないという声が聞かれました。
 倉吉市は、市内十六の医療法人や社会福祉法人と協定を結んでおり、災害時の福祉避難所として指定もしていましたが、今回はそのうち二カ所しか開設されませんでした。加えて、その周知徹底も不十分でした。
 十月二十九日付の朝日新聞に、難病の筋ジストロフィーの子供を持つ四人家族の方のお話が紹介されていました。
 発災当日、自宅近くの体育館に避難をしたが、障害者用のトイレもなく、寝るときは呼吸器をつける必要があるが、息子はそれが人目に触れるのを嫌がった。お母さんは、避難とはそういうもの、そこにいるしかないと思っていたところ、避難三日目に保健師に声をかけられ、福祉避難所があることを聞き、そちらに移ったとのことでした。そもそも福祉避難所という存在自体を初めて知り、体育館には行けないと不安を抱きながら自宅で世話をする被災者はたくさんいるはずと話しておられました。
 そこで、現状を伺いたいと思います。現在、福祉避難所を設置している自治体はどのぐらいあるでしょうか。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
 平成二十六年十月一日時点の調査でございますけれども、福祉避難所の指定状況につきましては、全国の自治体のうち七百九十一自治体、全体の約四五%の設置という状況になってございます。
○大平委員 もう一つお伺いします。
 同時に、難病の息子を持つこうした母親でさえもそうであったように、まだ多くの国民に福祉避難所の存在が知られておりません。内閣府が行った調査で、東日本大震災の避難者に福祉避難所について質問をしたものがありますが、その結果を御紹介ください。
○加藤政府参考人 御指摘いただきました東日本大震災の後の内閣府の調査、平成二十五年の調査でございますが、この中で、福祉避難所についてどの程度知っていたかという問いに対しまして、避難支援を必要としなかったという回答者三千二百六十人のうち二千四百九十四人が、また、避難支援が必要だったという回答者七百八十三人のうち五百四十一人が、それぞれ、福祉避難所がどういうものかも、自分の住んでいる地域のどこにあるのかも知らなかったというふうに回答しておるところでございます。
○大平委員 全国でいまだに半分以上の自治体が福祉避難所を設置していない。当然、要配慮者がどこにどのぐらいいるのかもつかまれておりません。そして、先ほどありました、要配慮者自身も含めて国民の四人に三人以上が福祉避難所の存在を知らないでいます。
 大臣にお伺いしたいと思います。
 高齢者や障害者など要配慮者にとって、災害時における避難の仕方あるいは避難所生活のありようは、健康被害や時には命の危険にすら直結する。周知徹底のおくれが致命傷になりかねないと私は思います。福祉避難所の開設の意義や手順の徹底、要配慮者の把握などを改めて国の責任で自治体の危機管理、防災担当者に徹底すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○松本国務大臣 高齢者や障害者、妊産婦といった方々は、一般的な避難所では特に負担が大きく、特別な配慮が必要であり、このような観点から、福祉避難所の確保が重要と考えております。
 先ほど政府参考人からも答弁したとおり、福祉避難所の指定が全国の自治体の約半数にとどまっていることなどから、自治体や関係者の間で福祉避難所の意義や必要な取り組みについての認識が不十分な面もあるのではないかと思っております。
 このため、政府といたしましては、この四月に公表した福祉避難所の確保・運営ガイドラインや、現在取りまとめ中の事例集などを活用して、地方自治体や関係者への福祉避難所の周知徹底を図ってまいりたいと存じます。
○大平委員 ガイドライン、先ほど大臣ありましたが、半年前に出されて、なお、今回、鳥取地震でこういう状況になっているわけですから、担当者への徹底、国民に福祉避難所の存在を知らせ、迅速、安全に避難できるようにするための施策を強めていただくように、重ねて求めたいと思います。
 続いて、土砂災害にかかわって質問したいと思います。
 七十七名のとうとい命が奪われた広島市北部の豪雨土砂災害から二年二カ月がたちました。私は、昨年の同委員会でもこの問題を取り上げ、避難勧告発令のおくれ、区域指定のおくれ、土砂災害防止施設の整備のおくれ、そして、宅地開発を事実上野放しにしてきた法整備の不十分さなど、何重にも政治、行政の責任が問われる、まさに政治災害であったことを指摘いたしました。
 この災害を受けて土砂災害防止法の改正が行われ、土砂災害から国民の命と暮らしを守るための対策が現在講じられているわけですが、それが今どこまで来ているのか、現状と課題についてお伺いしたいと思います。
 まず、区域指定の問題です。
 土砂災害防止法では、土砂災害危険箇所について基礎調査を行い、警戒区域を明らかにした後、調査結果に対する市町村長の意見を受けて区域指定するとされています。
 そこで、お伺いします。基礎調査完了時の警戒区域の推定値、現在の基礎調査の完了数、さらに、指定された警戒区域数について、全国と広島県、それぞれの数字をお示しください。
○山田政府参考人 お答えいたします。
 基礎調査完了時の土砂災害警戒区域の総区域数の推計値でございますが、平成二十七年度末現在で、全国では六十五万一千三百二十一区域、広島県では三万四千六百四十五区域と推計されております。
 また、平成二十八年十月末現在の基礎調査の完了数は、全国で四十九万八千五百四十一区域、広島県では一万九千五百八十区域が完了しております。
 さらに、平成二十八年十月末現在の区域指定数は、全国では四十五万七千八十九区域、広島県では一万六千八百四十二区域が指定されております。
○大平委員 全国の区域指定率、私、計算してみました。先ほどの局長の答弁を試算でやりますと、全国六九%であることに比べ、広島は約四八%と大きくおくれております。全国の一覧を見ますと、一〇〇%近い都道府県もあれば、かなりおくれている都道府県もありました。おくれているところは、なぜおくれているのか。
 広島県で、先日、県知事、県議会議長を初め県の幹部の皆さんが上京されて、来年度に向けた予算要望の説明会が行われ、私も参加をしてまいりました。
 県知事からもさまざま御紹介がありましたが、要望の第一の柱に、災害に強い町づくりの推進が位置づけられておりました。課題として、本県には、全国一多い土砂災害危険箇所があることから、まだまだ多くの未指定箇所が存在している、八・二〇土砂災害を踏まえ、県内全域の速やかな区域指定による危険性の周知と警戒避難体制の構築等が求められていると述べておられました。そして、基礎調査完了のための国の財政支援を切望しておられました。
 国交政務官に来ていただいております。土砂災害防止法が制定されるきっかけとなり、また改正のきっかけとなったのも、広島県の土砂災害でした。そうした痛苦の経験を経てきた広島県の決意と要望にも応えた手厚い支援が私は必要ではないかというふうに思います。基礎調査の円滑かつ着実な実施を図るために国費の負担率の引き上げなども含めて検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○根本大臣政務官 基礎調査に関する都道府県への支援についてお尋ねがありましたが、広島市での土砂災害を契機に土砂災害防止法が改正されたことを踏まえ、全ての都道府県において、平成三十一年度末までに基礎調査を完了させる目標が設定されました。
 国土交通省としましても、基礎調査の促進のため、財政面での支援が重要と考えております。そのため、平成二十七年度より、基礎調査の経費に防災・安全交付金を優先的に配分するための制度創設を行い、積極的に支援しているところであります。
 補助率の引き上げのお尋ねもありましたが、現行の支援措置のもと、既に基礎調査を完了した自治体とのバランスも含め、慎重に検討する必要があると考えております。
 今後とも、基礎調査の完了目標が達成できるよう、防災・安全交付金の活用を通じ、都道府県をしっかり支援し、基礎調査及び区域指定の促進を図ってまいりたいと考えております。
 以上です。
○大平委員 補助率の引き上げについては、バランスの観点もある、慎重に検討をという政務官の御答弁でした。
 私は、進んでいるところはいいと思うんですね。広島県のように特におくれているところは、やはり、さまざまな地理的問題、あるいは特殊な困難な条件もあるからこそおくれているわけで、そうした実態をよく踏まえていただきたい、よくつかんでいただきたい、それに見合った手厚い支援を求めたいというふうに思います。
 もう一つ、きょう、がけ地近接等危険住宅移転事業の問題もお尋ねしようと思いましたが、少し時間がないので簡潔にしたいと思います。
 この間、危ないところには住まないということで、いわゆる移転支援制度が設けられております。その一つがこのがけ近と言われる事業でありますが、お聞きしますと、広島県は、この二年間でこの活用実績がゼロ件だということでした。
 何で使われていないのかな、活用が進んでいないのかなと思って、私、被災者の皆さんあるいは県や市の担当者の皆さんに聞きましたら、一番出された声は、やはり、補助額の上限が八十万円では移転できないという声でした。八十万円では足を踏み出せないという被災者はたくさんいると思うんですね。
 国として、移転の後押しとなるだけの額の引き上げを進めていくことが必要だと思いますが、この点について、いかがでしょうか。政務官にお聞きしたいと思います。
○藤井大臣政務官 がけ地近接等危険住宅移転事業につきましては、土砂災害特別警戒区域等に立地する住宅を対象に、土砂災害による危害を防止するため、区域外への移転を支援する事業でございます。
 本事業は、個人の住宅移転を支援することから、一定の限度額の範囲において支援するものとして昭和四十七年に制度が創設され、限度額につきましては、労務単価や消費税の引き上げなどに対応し、適宜引き上げを行ってきたところでございます。
 一方、移転を強力に促進する観点から、地方公共団体における独自事業として、本事業による支援に加えまして、さらなる費用を上乗せで支援している例がございます。
 このように、危険住宅の移転は、国、地方公共団体、移転者のそれぞれが一定の費用を負担しながら実施しているものでございます。今後、それぞれがどのように費用を負担すべきかにつきましては、引き続き、事業を実施している地方公共団体と十分に情報交換を行ってまいります。
○大平委員 県の独自支援が進んでいるところでこの事業の活用も進んでいる。岩手県などもまさにそういうことでした。
 やはり額の引き上げということが決定的であることを物語っていると思います。ぜひ、国としての上限額の引き上げを重ねて求めたいと思います。
 最後に、地学教育の現状と課題についてお伺いいたします。
 東日本大震災や熊本地震、広島県豪雨災害や御嶽山の噴火など、日本は世界有数の地震、火山、気象災害の多発国であるにもかかわらず、自分たちが住み暮らす土地や地域がどういう成り立ちをしているのか、どんな被害の可能性があるのか、そのことに基づいて自然災害に対してどういう備えが必要なのか、こうしたことを考える基礎となる地学という科目の現状、地学教育の現状は極めて心もとないものとなっております。
 この間、現在の学習指導要領のもとで地学の履修状況はどうなっているでしょうか。簡潔にお答えください。
○浅田政府参考人 高等学校の理科については、基礎的な科学的素養を幅広く養うとの観点から、物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎のうちから三科目を履修するか、あるいは、科学と人間生活及びこれに加えて先ほどの四科目のうちの一科目を履修することとなっています。また、選択科目として、物理、化学、生物、地学、理科課題研究が設けられています。
 現状としては、平成二十七年の公立高等学校における教育課程の編成・実施状況調査の結果によれば、地学基礎を履修した生徒は二六・九%、地学を履修した生徒は〇・八%となってございます。
○大平委員 今なお、日本の高校生の七割以上が地学未履修で卒業している実態です。また、高校現場では、地学の教員不足も深刻になっております。
 高校における地学の履修者をふやしていけるように、地学教育の抜本的な拡充を図り、地学教員を大幅にふやすことを求め、自分たちの住む地域の特性を知り、地域の力で災害による被害の拡大を防いでいく力を育むためにも、国としてこういう面でも果たすべき役割があるということを強調しまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。